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2008年11月21日
新型インフルエンザって、怖いの?
強烈な新型インフルエンザの流行は、絶対にない。
とは言い切れませんが、可能性は低いと考えてます。
ただ、例年の通常のインフルエンザよりは、症状が
少しきつい、新型インフルエンザの流行、この可能性は
十分にあります。
このような新型インフルエンザに対する判断は、
厚生労働省などの判断とは、異なります。
問題になっているような、 強烈な新型インフルエンザは、
なぜ流行しないと考えるのか、 説明します。
A 以前より、インドネシアなどで、鳥インフルエンザに
人が感染して, 60%以上の患者が死亡しています。
B 約100年前の新型インフルエンザ、スペイン風邪で
日本でも、 40万人ぐらい死亡しました。
Aの強烈な鳥インフルエンザが、 人から人へ
感染するようになり、しかも、Bのスペイン風邪みたいに
流行すれば、
強烈な新型インフルエンザの流行に、なります。
しかしながら、新型インフルエンザになると、症状が
かなり軽くなるのが、普通です。
1) 実は、新型インフルエンザは、この100年間に、
日本でも、すでに 3回も来ているのです。
今、話題になっているのは、 次に、
4回目に来る新型インフルエンザなのです。
新型インフルエンザと呼ぶのは、日本だけです。
他の国では、パンデミック インフルエンザと呼びます。
pandemic influenza と呼びます
(インフルエンザの大流行?)
20世紀には、世界で、そして、日本でも
インフルエンザの大流行は、3回、有りました。
1回目 1918ー1919年の スペイン風邪です。
死者数 世界で2000万人から4000万人
日本では 約40万人
2回目 1957年の アジア風邪です。
死者数 世界で200万人、日本で約11万人
3回目 1968年の 香港風邪です。
死者数 世界で100万人、日本で5万人
その後も、68年から93年まで、インフルエンザで
5000人から1万人が、毎年、余分に死亡しています。
このように、新たに、新型インフルエンザが流行すると、
確かに死者は、通常のインフルエンザに比べて、格段に増ます。
ただ、1回目、2回目、そして、3回目と、回数を重ねると、
死者数は明らかに減少しています。
後でも、のべますが、感染する人の割合は、ほとんど、
変化してないのです。
なのに、なぜ、死亡者だけが、減少したのでしょうか?
3回目は、1回目の、約10分の1です。
可能性1: 栄養や生活環境が良くなり、抗生剤などが
普及したためでしょうか?、
確かに、1回目 1918ー1919年の スペイン風邪の
頃は、結核や麻疹でもバタバタと死んでいました。
今では、結核や麻疹での死亡は、あまり
見かけません。 環境や医療の進歩でしょうか?
可能性2: 1回目にくらべて、2回目、3回目と、
何らかの理由で、感染力は同じでも、
新型インフルエンザ自体が、
病原性の弱いものに、変わってきた。
この3回の過去の新型インフルエンザについて
国立感染研究所の感染情報センターの専門家
砂川富正氏 の 資料では
3回とも、感染率、(正確には、罹患率)、はほぼ
同じで、約3人に1人です。
つまり、 感染しても、 症状が出ない、
またはごく軽症の人がたくさんいるのです。 日本や韓国で
鳥インフルエンザの鶏を処理した作業員は
症状無くても、感染していました。
この事は、非常に大事な事です。 つまり、
新型インフルエンザかどうかの診断は、症状や、診察では、
本質的に出来ないのです。
新型インフルエンザ発生の際に、
発熱センターなどの計画が
なされています。 しかし、過去のデーターを冷静に見つめると、
「発熱センター」は、基本的に、無意味です。
2) 新型インフルエンザの診断はどうするのか、
普通の風邪にくらべて、
熱や咳が、かなり高い患者さんは、
新型インフルエンザが発生した時には、
そうでない人よりも、新型インフルエンザの可能性が高くなります。
正確な診断には、のどからの検査をします。
特殊な検査です。
発熱センターでなくて、特別の病院(感染症指定の)で、
のどからサンプルを取って、
地方の研究所や東京の研究所に送ります。
結果が出るのに、最低で1日から1週間近く
かかります。
この検査で、陰性になっても、新型インフルエンザではない。
大丈夫だとは言えません。 それは、鳥インフルエンザが
発生しているトルコや
インドネシアの報告を見れば、分かります。
何割かの人は、どうみても、鳥インフルエンザで、
大半が死亡しているのに
検査では、陰性(マイナス)なのです。
「発熱センター」へ行っても、ほとんどの場合に、
「新型インフルエンザでは、
ない」 との 確実な判断は出来ないのです。
3) 質問 「新型インフルエンザ発生時に、
熱があったら、どうしたら、良いの?」
「新型インフルエンザか発生すると、
60%以上で、バタバタと死んでいくかもしれないのに」
答え:
新型インフルエンザが発生しても、予想として、
1968年の香港風邪と、例年の通常のインフルエンザの
中間位の流行や症状になる可能性が、一番、高いのでは
新型インフルエンザも、広い意味で、感冒のひとつです。
感冒に対する基本は、
1) 熱が出たら、まず休む。 自宅療法をする。
合併症などのある人を除き、医療機関には、受診しない
2) 肺炎などの合併症を含めて、分からない点があったり、
いつもより症状がきつければ、医療機関を、受診する。
3) 受診する時は、ほかに人に移さないように、
また、本当の新型インフルエンザの人から、
移されないように、する。 このためには、予約してから
受診する。
これが原則です。
確かに、強烈な新型インフルエンザが流行する、そんな可能性も
ゼロでは有りません。
その場合も原則は同じです。
きかわ小児科では、新型インフルエンザの発生の可能性が高い場合は、
基本的に、メールや、電話などで、予約してから、受診して頂きます。
新型インフルエンザの発生が、国内で確認されて、福井県内でも可能性
が高い時には、
1) 発熱患者については、予約診療のみとします。
2) 肺炎、心筋炎、脳炎 などの 合併症があるかどうかに重点をおきます。
3) 合併症があり、入院が必要なら、紹介します。 ただ、通常の
インフルエンザ流行時でも、入院出来なくなり事が有ります。
その場合は、自宅療養となります
4) インフルエンザに有る程度は効くとされる、タミフルなどを
入手できる範囲で 投与します。
1) 感染防止のために、適切な時点で、診療所は閉鎖します。 出来る範囲で、往診に切り替えます。
2) 往診は、主として、通常疾患を対象とします。(熱の出ていない)
3) ファクス58-0339および 新型インフルエンザ専用アドレス new-inf@hotmail.co.jp に
連絡をお願いします。 (アドレスは、新型インフルエンザ発生時のみ有効です)
4) 基本的に、再診の方のみ、3才以下(次に、3才以上)を優先させていただきます。
氏名(保護者名も)、カルテ番号、 住所、 目安になる建物、
電話番号(固定、携帯、Fax)、 メールアドレス(CP,携帯)、
病気の症状など、 知らせて下さい。
こちらから、往診できるかどうかなど、連絡します。
6) 熱のあるお子さんの往診については、 どうするか、 感染や流行防止のため、
細かい点は現在、検討中です。
投稿者 kikawa : 2008年11月21日 10:13